第3四半期の経常収支統計

20191217

結論:第3四半期の経常収支の黒字は39億ドルで、第2四半期より300万ドル下回った。経常収支の4つの構成要素(下記参照)はそれぞれ第2四半期と比べ低下したが、わずかな純変化が見られただけで、大きな黒字がイスラエル経済の特徴となったことを示している。この黒字はまた、シェケルが強い理由ともなっており、レビアタン油田から天然ガスの輸出が始まる予定の2020年に増加する見込みだ。

経常収支統計は非常に重要なデータにもかかわらず、メディアで取り上げられることは皆無で一般大衆の間でもほとんど理解されていないため、ここで大雑把に基礎的な概念をご案内したいと思う。

経常収支とは

  • 一国の経常収支とは、通常1四半期あるいは1年の一定期間における他国との取引の合計である。 モノの貿易、サービス貿易、第一次所得、第二次所得の4つの主な構成要素から成る。
  • イスラエルの経常収支には以下の特徴がある。
    • モノの貿易:未加工・研磨済みのダイヤモンド、エネルギー製品(輸入のみ)、その他原材料など、あらゆる種類の製品を含む。
    • サービス貿易:インバウンド・アウトバウンド観光や、航空・海上と乗客・貨物輸送サービスを含む。さらにそれにも増して顕著なのが、ソフトウェアとコンピューターのコンサルティングや、新興企業売却による収入とコンサルティングサービス各種を含む科学的研究開発などの「その他のサービス」である。
    • 第一次所得:イスラエルで働く外国人労働者の収入から国外で働くイスラエル人労働者の収入を引いた「労働収入」と、イスラエルの国外投資による利息と配当の支払いから国内で活動する外国投資への支払いを引いた「資本収入」から成る。
    • 第二次所得:(1)イスラエル政府(政府間援助を含む)、(2)イスラエルの機関各種(病院、教育機関など)、および(3)個人(ドイツの賠償金、個人の遺贈、贈答品など)に対して外国事業体が支払う片道決済から、外国事業体に対してイスラエル事業体が支払う片道決済を引いたものである。

 

2019年第3四半期の経常収支統計

  • 経常収支は、2018年第3四半期で30億ドルの黒字だったのに対し、2019年7-9月期には39億ドルの黒字を記録した。 
  • これは今まで第3四半期に記録された中で2番目に大きい黒字だ。ちなみにこの数字を上回るのは、2015年7-9月期の44億ドルのみである。 
  • モノの貿易の赤字は40億ドルで、4-6月期の42億ドルと1-3月期の49億ドルから減少した。輸出はわずかに増加、輸入はわずかに減少した。 
  • サービス貿易の黒字も58億ドルと、第2四半期に比べ3億3000万ドルの減少となった。とは言え、これは今まで第3四半期に記録された中で最高の黒字だ。
  • これらの減少が世界貿易全般の弱さを反映している可能性はあるが、シェケルが強いこともモノの輸出に大きく影響していると考えられる。
  • 第一次所得収支の黒字(概念の定義については上記参照)は第2四半期の2億2,200万ドルから第3四半期の8,000万ドルに減少した。2018年第3四半期の1億7,900万ドルと比較しても減少している。
  • 第二次所得収支の黒字は合計20億3000万ドルで、第2四半期よりも約3,000万ドル低下した。
  • 金融収支では、イスラエルの対外純資産は15億ドル減の1,620億ドルとなったが、2018年の第3四半期の合計に比べて45億ドルの増加となった。

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